事務所通信 平成18年2月号掲載
 家の 
 
最近、ライブドアがマスコミを賑わすことが多くなっています。
マスコミも上げたり下げたりで節操のなさを感じるのは私だけでしょうか。

 ところで、「国家の品格」(藤原正彦 著)は昨年11月に出版され、静かなブームとなっている本です。その中の一節を紹介します。

 「会社は株主のもの」という論理は、私には恐るべきものに思えます。会社は、言うまでもなくそこで働く従業員のもので、株主は多くの関係者の一つくらいの存在でしかない。株主によっては1週間とか1ヶ月とか1年とかいう短期間で株を売り買いします。ほとんどの株主は値上がりによるキャピタルゲインを狙っているのであり、その会社には何の愛情も持たない人々です。

 一方、多くの日本企業の従業員はそこで長く働きますから、いつも会社のことを考えて一生懸命やっています。「会社は株主のもの」は恐ろしい論理なのです。経済理論としてこの主義に論理が通っていることは認めます。しかしそれはよい経済理論ではないと思います。論理的に正しいことと善悪は別次元のことです。少なくともこの主義が社会を不安定にすることは明らかと思います。私は、「武士道精神こそ世界を救う」と考えていますので、株主主権をやたらに言い立てる人には、「下品」で「卑怯」という印象を禁じ得ません。「法に触れないなら何をやってもいい」と、財力にまかせてメディア買収を試みた人がいますが、日本人の過半数が彼を喝采しているのを見て、何とも絶望的な気分に襲われました。(以下省略)

 最後の部分は、ライブドアのホリエモン(堀江貴文)等のことをいっているものと思いますが、私も全く同感です。こういうことがまかり通ると、上場を廃止する企業が出てきます。実際にアパレル大手のワールドが敵対的買収の対抗策として上場を廃止しました。こうした企業が続出するとは思いませんが、行き着くところまで行ってしまうと上場しなければよいということになってしまいます。画期的な日本論が展開されていますので一読されてはいかがでしょうか。
所 長  須 田 幸 英
事務所通信 2月号掲載

トップページへ 所長の一言トップページへ